本日も当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
どうもテツヤです。
本日の作業紹介は、都内からお越しの「ダイハツ タント(L375S)」でございます。

さてさて。
今年もスタートしておりますカーエアコン修理シーズンです。
今年は暑い日が早く来ましたが、その後は気温が下がったりと乱高下の続き。
なんだかよくわからない陽気の中、エアコン修理の相談も増えたり減ったりと混乱しております。
しかしどちらにせよ、夏は酷暑が続きそうですので。
不具合を感じたら、早々に修理されるのが宜しいかと存じます。
さて今回の不具合は「本年4月ごろから、エンジンかけて少しすると冷風が出なくなる」というもの。
当社に入庫する前に、他所で診断してもらったところ、電装屋で診てもらう事をお勧めされたそうです。
その際の診断では。
ガスを規定量入れても改善されず。
高圧が異常に高くなる。
ラジエーターファンが回っていない時がある。
との内容でありました。
上記の内容からすると、フィルターの詰まりが1番怪しいですね、この車両ではよくある故障なので。
「高圧だけが高くなる」のであれば、ほぼ決まりでしょう。
ラジエーターファンは常に回ってるものではないので、ここでは無関係と推測。
そもそも規定量入るのであれば、壊れている可能性は低いです。
という事で、まずは想定した状態の裏付けを取るため、ゲージをつけて状況の確認。
エンジンかけて、エアコンを入れて、圧力を見ます。

!?
「高圧が異常に高い」のは間違いないですが、情報が正確ではないですね、低圧側も高いです。
これはフィルターの詰まりじゃないですねぇ。
一応、その日の気温も再確認。

気温22℃で湿度は54%です。
これでこの圧力はあり得ない…。
この時点で、前店での診断情報の信頼度が揺らぎます。
「エアコンガスを規定量入れた」との事だったので、もしかすると過充填か??
疑いがあれば1つずつ消していく消去法が、故障診断のセオリー。
という事で、エアコンガスを抜いて量を確認します。

ボンベの重さが1000gなので、ガス量は117gとなります。
規定量?入ってないよね…。
車両のエアコンガス規定量を再度確認します。
これは車両に記載されているので、誰でも確認できます。

エアコンガスの規定量は300g±30gとなります。
つまり、車両に入っていたエアコンガスは、規定量の1/3程度。
「ガスを規定量入れても〜」とは何だったのか?
そもそも入れていないのか?お客様の聞き間違いか?
でもそれは、事ここに至ってはどうでもいい事でありまして。
事前情報が全く当てにならなくなったので、真っ新な状態から診断をスタートさせるだけでございます。
まぁこれはよくある事なので、さほどの衝撃ではありません。
なので基本的には、事前情報としての信憑性の高さは同業者か、同じぐらい経験値のある修理工場か、となります。
「同じぐらい経験値のある修理工場」であるかどうか?は実際にお付き合いしてみないとわかりませんので。
一見の工場さんの場合は、事前情報を当てにしません。
と言いますか、同じぐらいの経験値があるのであれば、電装屋に紹介はしませんが。
ちなみに同じ理由で、ユーザー様がネットで調べた情報は全く信用に値しません。
「自称車に詳しい知人」も同様で、多くの場合、間違った情報だらけであります。
しかしですね、5月にエアコン添加剤を入れてるんですね。
4月から調子が悪くなっていたそうなので、それが改善されればと施行されたのでしょうけれど。
添加剤では解決できない症状ですので、これは全く無駄な施工であったと言えます。
だから私は常日頃から、添加剤よりもエアコンクリーニングよりも、まずは「故障診断」が重要だと申し上げているわけです。
このどちらも、効果については否定的な立場ではありますが。
もしやるのだとしても、最初に行うのは故障診断が優先されるべきで、それが最終的には最も安くつく方法なのです。
どうも自動車業界は「情報の非対称性」を利用して金を稼ごうという文化が、昔から根強いのが問題です。
「詳しくないヤツをカモる」のが平気で行われるから、いつまでも「怪しい業界」という雰囲気が拭えないのでしょうね。
話を戻します。
さてこうなりますと。
発生している問題点は2つ。
・なぜ圧力が高いのか?
・なぜガス量が足らないのか?
となります。
「なぜ圧力が高いのか?」については、単純な話、しばらくアイドリング状態にしておけば分かります。
ここで「ラジエーターファンが回っていない時がある」が引っかかる訳ですね。
つまり「回ってない時がある」のではなくて「回っていない」のではないか?と。
そしてこれは結果としてビンゴでした。
エンジン温度(水温)が高まっても、電動ファンは回らない。
その所為でコンデンサも冷やされず、圧力がバンバン高まり、コンプレッサーはONしない。
そうなると車内と車外で熱交換はできませんので、冷風は出なくなります。
では逆に、コンデンサが冷やされれば冷風は出てくるのか?となりますが。
電動ファン以外の故障はないか?もテストするために、電動ファンに見立てた扇風機でラジエーターに風を当てて、どうなるかを確認しました。
無事に圧力は正常範囲に戻りました。
このタイミングでエアコンガスも規定量を入れてあります。
エアコンガスは規定量、圧力も正常範囲内、車に乗り込んで冷風が出ている事も確認。
つまり、エアコンは正常に機能していると判断できます。
従って、まずは電動ファンの故障は確定、これの修理見積もりを作りましょう。
次に「エアコンガスが規定量の1/3であった」部分を調べます。
予想としては、電動ファンが回らずにコンプレッサーがONしないので。
エアコンガスを規定量入れられなかったのでは?と推測するのですが。
しかし何処からか漏れ出している可能性は否定できませんので。
現時点でガス量は規定量入っておりますから、ガス検知器を使って、何処から漏れていないか?を調べます。
しかしこの時点では検知できず。
ただし念の為、2日後に再度確認するも検知せず。
ダメ押しとして、入れたエアコンガスを回収し、重さを調べます。
結果、入れた量と同等量が回収できたので、現時点ではガス漏れは発生していないと判断。
結論として「ラジエーターファン不動による不具合」と断定し、これの修理見積もりを作ります。
さて見積もりを作る段階で、3日間の駐車スペースと、実働として1日分の作業が発生しております。
それも、これまで研修等で学んだ事と、経験値、そして道具があってできる事です。
見積もりが有料である事に否定的なご意見がございますが。
これだけの作業を無料で行うことが、どれだけの無茶振りであるかをご理解いただけたら幸いです。
加えて、見積もりで検討した結果、「修理しません」となったら、目も当てられません。
メカニックの給与が上がらなければ、成り手は少なくなる一方です。
人手が足らなければ、どこも既存ユーザーで手一杯、となれば一見客は後回しにされる現状は、仕方のない状況であると言えます。
つまりですね、できましたらちゃんと対価を払っていただきたいと願うわけです。
消費者側が変わることで状況が好転する。事もあると個人的には思う訳でして…。
後進育成のためにも、是非とも皆様のご協力を承りたく、お願いいたします。
さてここからは修理作業です。
電動ファンを外すために、バンパー等を外します。

これが故障したラジエーターファンです。
しかし、ファンが故障してオーバーヒートしなかったのは不幸中の幸いでしたね。
長距離ドライブがなかったのが幸いしたのでしょう。

電動ファンは、ここに入ってます。
しかし整備性が悪い車です(汗

こちらは新品の電動ファン。
この車両の場合はAssyでの設定のみでした。
中古品で安く直す選択肢もありますが。
中古品は基本的に同程度経年劣化しておりますので、交換した次の月に故障してる可能性はあります。
そう考えますと、新品に交換してしまった方が安心です。
例えば「来月車検で買い替えるので、それまで動いてればOK」などであれば、ありだとも思いますが。

バンパーを止めているクリップがほぼ無い状態でしたので、クリップも新品を用意しました。
もしくは経年劣化によりバンパーを外す際に割れてしまう事も多々あります。
そういった場合にもクリップは交換です。

ある程度の車齢を迎えた車の場合には、故障箇所以外にも、作業を行うことで壊れてしまう部品はあります。
これは回避のできないものですので、そういった部分も踏まえて修理費は多少高くなる事を、ご理解いただけると助かります。